政策提言 / ADVOCACY

2025 年度 政策提言「ひとり親と子どもたちが安心して生き生きと暮らせる社会を実現するために」

特定非営利活動法人 ひとり親家庭サポート団体全国協議会

ひとり親家庭とこどもたちが生き生きとその力を発揮できるようになるため、さまざまな支援が求められています。

わたしたちひとり親家庭サポート団体全国協議会は全国のひとり親とこどもたちの声を集め、社会に届け、よりよい施策実現のために政策提言(行動計画)をつくり発表してまいりました。

ここ数年でも、寡婦控除税制がひとり親控除に改正され、児童扶養手当の全部支給・一部支給の所得制限が緩和され、家庭福祉員を派遣するひとり親家庭日常生活支援事業の単価が上がるなど、私たちの要望が実現して来たことは様ざまな立場の方のご協力によるものです。

ありがとうございます。

まだまだわたしたちが実現したい政策があります。

ひとり親とこどもたちの声を生かし、政策を実現していきましょう。

【わたしたちが実現したいこと】

  1. 児童扶養手当制度について
  2. 別居中の母子に支援施策について
  3. 仕事と子育ての両立ができる支援施策について
  4. 生活保護制度の改善について
  5. 養育費の取り立て、安全な面会交流(親子交流)の施策への改善について
  6. 就労支援について
  7. 教育支援について
  8. 医療費支援について
  9. 住居支援について
  10. 孤立防止について

  1. 児童扶養手当制度等について
    1. 困窮するひとり親世帯のこどもたち一人ひとりの育ちを応援するため、物価高騰や社会情勢に合わせて児童扶養手当の支給額を見直し、児童扶養手当はこども 1 人 6 万円とすること、2 人目も 1 人目と同額に拡充すること。【国】
    2. 児童扶養手当制度と年金のこども加算を、扶養に入っているこどもの学生期間までに延長すること。【国】
    3. 児童扶養手当は毎月支給すること。【国】
    4. 児童扶養手当の全部支給の所得制限を 385 万円(収入ベース)に上げること、一部支給の所得制限を 600 万円(収入ベース)とすること。【国】
    5. 児童扶養手当の窓口で、事実婚の通知による事実婚の定義を改め、また、運用を改善し「相談しやすい窓口」「プライバシーが守られる窓口」をつくり、窓口によるハラスメントを無くすとともに、郵送・二次元コードによる届けを行えるようにすること。【国、自治体】
    6. ワンストップ型の支援をより効果的にするため、プッシュ型(サービスを受ける人の申請を待つのではなく自治体等が積極的に情報提供をすること)の申請ができるようにすること。【国、自治体】
    7. 児童扶養手当の基準となる所得と扶養親族数を勘案する際、扶養親族数の増加や家計急変があった場合は、現況を優先し支給していくこと。【国】
    8. 児童扶養手当の扶養義務者の所得制限を 600 万円に緩和すること。【国】
    9. 物価高騰、自然災害や感染症拡大など社会情勢に合わせて、給付金の支給を迅速に検討すること。【国】
    10. 児童手当も毎月支給すること。【国】
  2. 別居中の母子に支援施策について
    1. 離婚成立前の別居中の母子世帯の困窮を救うため、児童手当は同居親に給付されるよう、DV 被害世帯で住民票を移していない場合にも認めるようにすること。【国】
    2. 離婚成立前(別居中)の世帯にも、児童扶養手当や医療費助成が受けられるようにすること。
    3. 東京都中野区実質ひとり親支援給付事業を先行例として、別居中の実質ひとり親世帯への支援を拡充すること。【自治体】
    4. なお、2022 年 3 月通達の児童扶養手当にかかる「遺棄」認定基準(子家発 0318 第 1 号令和4 年 3 月 18 日)(注)の理解の徹底を自治体に求める。
      (注)https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/teianbosyu/doc/r03/tb_r3fu_12mhlw_116.pdf
  3. 仕事と子育ての両立ができる支援施策について
    1. ひとり親や離婚前別居子育て世帯が子育てと仕事が両立ができるようひとり親家庭日常生活支援事業の予算を大幅に拡充すること。また委託先を再考し、利用時間や利用可能曜日等の自治体間の格差を解消し、全国で使える制度にすること。加えて、ファミリーサポート事業の減免措置と自治体が選択できるようにすること。本事業が全自治体で活用されているかについて、実態調査を行い結果を基に上記の改善を求める。【国、自治体】
  4. 生活保護制度の改善について
    1. 子育て世帯の生活保護受給者の自動車保有については、求職中だけでなく就職後も、通勤・通院・保育園送迎等に必要なため、認めるよう徹底すること。【国、自治体】
    2. 生活保護の申請時の扶養照会については廃止すること。【国】
    3. 入学準備金については規定額を一括で事前に支払うこと。【国、自治体】
  5. 養育費の取り立て、安全な面会交流(親子交流)の施策への改善について
    1. 令和 6 年成立の離婚後の子の養育に関する民法等改正法については、令和 8 年の法の施行日までに家庭裁判所の整備を十分におこなうこと。共同養育を認めてきたオーストラリア等各国が暴力・虐待から子どもを守るために行っている施設や人員の整備、運用を学び、実施すること。【国】
    2. 家庭裁判所は、DV や虐待が疑われる場合はアセスメントを丁寧に行い、こどもの調査はまわりの大人に左右されることのない安心できる環境で丁寧に行うようにすること。そのために国は、研修と人員体制強化のための予算を拡充し、DV や虐待の現状、特に被害者の心理・加害者の考え方について研修を行うこと。【裁判所】
    3. 家庭裁判所は、養育費支払いの取り決めを共同親権や面会交流(親子交流)の選択の取引条件にしないことを徹底すること。【裁判所】
    4. 親権、監護、養育費等の法律相談・取り決め・調停・審判・裁判などの各段階における紛争解決や安全確保の支援、法的な役務の提供に関する支援について、公的機関を創設し無償で行うこと。【国、裁判所】
    5. 民法改正に伴い、税制、社会保障制度、社会福祉制度等への影響について十分に精査し、こどもに不利益が生じることのないよう、関係省庁が連携して対応を行うこと。また、社会福祉施設や学校、医療機関等でこどもの学ぶ権利や安心安全、生命が脅かされることがないように十分な準備を行うこと。【国】
    6. 養育費の支払い確保を進めるため、国が不払いの養育費の立て替え払いを行うこと。【国】
  6. 就労支援について
    1. 最低賃金は全ての都道府県において 2026 年中に 1800 円以上とすること。【国】
    2. 世帯単位ではなく、個人を単位とする社会保障と年金制度にすること。【国】
    3. ひとり親家庭の経済的自立に向け、エンパワメントを含めたキャリアアップのための支援を拡充すること。困難を抱えるひとり親の背景をふまえ、資格の選択肢を広げ、高等職業訓練促進給付金等の支援を多様化すること。また、時間や費用等の制約を考慮し、それらの支援にアクセスできる環境を整えること。【国】
    4. 全国各地において、自治体独自のひとり親就労支援事業を促進すること。【自治体】
    5. 職業訓練については、ひとり親が利用しやすいようにやむを得ない欠席に配慮し、手当の支給要件や在校資格要件を緩和すること。【自治体】
    6. 初職が非正規の場合などに就職支援等をより充実すること。【自治体】
  7. 教育支援について
    1. 就学援助制度を全国一律とし、私立小中学校も対象とし、通知方法は、学校において全員配布方式を徹底すること。また、民生委員の証明書を必要とする運用は廃止するよう徹底すること。また入学時に前倒しして支給すること。【国】
    2. 感染症の拡大時や自然災害などによる一斉休校などの際は、就学援助世帯への給食費の返還あるいは昼食代援助をすること。【自治体】
    3. GIGA スクールの運用は、各家庭の経済状況と IT 力の格差に配慮した経済援助・技術援助を行える体制をつくること。【自治体】
    4. 高校生に就学援助制度を創設すること。学校指定の学用品は必要性を考慮し最小限にすること。また PC やタブレット購入や通信機器に当たっては支援が必要な家庭に配慮し、貸出し機の貸与にあたっては個人のプライバシーに配慮すること。【国、自治体】
    5. 給食費の無償化を進めるとともに中学校の給食未実施地区をなくすこと。及び、長期休暇中の低所得世帯のこどもに対する昼食補助の公的なしくみを導入すること。【自治体】
    6. 高校生等就学支援金及び高校生等奨学給付金の支払いは入学時あるいはせめて 5 月までとすること。また、入学金の納入期限を猶予すること。【国】
    7. 高等教育の修学支援新制度の給付型奨学金の所得制限額を上げるとともに、在学時の給付制限の要件を緩和すること。【国】
    8. 不登校児の増加に伴い、フリースクール等の多様な学びを推進し、東京都の事例もあることから、授業料の補助等をおこなうこと。出欠記載欄の廃止については先駆的な事例に続き全自治体で対応すること。【自治体】
    9. 部活動の地域移行に際して、経済格差に配慮し学習支援や習い事など学校外の学びについて、国と自治体が連携して支援の取り組みをすすめること。【国、自治体】
  8. 医療費支援について
    1. ひとり親への医療費助成の受給の収入基準額を見直し、自治体格差をなくし全国一律に、ひとり親家庭の親子が安心して無料で現物給付で医療を受けられるようにすること。【国】
  9. 住居支援について
    1. ひとり親世帯及び離婚前別居子育て世帯に対し公営住宅及び民間賃貸住宅の環境を整備し、さらに入居しやすくすること。また公営住宅法令の特例措置により、公営住宅入居時における保証人制度免除制度を実施していない自治体があることから、特例措置を実施すること。【自治体】
    2. 母子生活支援施設については、特定妊婦の利用等入所措置の緩和を行うこと。【自治体】
    3. ひとり親家庭住宅支援資金貸付金(自立支援プログラム策定時の住宅支援資金の貸付)について、令和 6 年には 4119 世帯が活用しており必要度の高い施策であるが、実施していない自治体もあるため、全自治体での事業の実施を促すこと。【国】
    4. 自治体による民間借り上げ住宅など、ひとり親世帯への住居費補助を国の制度として設けること。【国】
  10. 孤立防止について
    1. 地域の社会資源に繋がりにくいひとり親(別居中を含む)のために、国と自治体、民間支援団体との連携の上、離婚手続き等の情報提供を行うこと。また、オンラインなど多様な手法により地域を越えたサポートを拡充すること。【国】

2025 年 10 月 5 日