行動計画 / ACTION PLAN

2024 年度 行動計画及び要望事項「シングルマザーと子どもたちが安心して生き生きと暮らせる社会を実現するために」
特定非営利活動法人 ひとり親家庭サポート団体全国協議会
【わたしたちが実現したいこと】
- 児童扶養手当制度について
- 別居中の母子に支援施策について
- 仕事と子育ての両立ができる支援施策について
- 生活保護制度の改善について
- 民法改正に伴い緊急に対応すべき諸課題と養育費受領率向上について
- 就労支援について
- 教育支援について
- 医療費支援について
- 住居支援について
- 孤立防止について
- 児童扶養手当制度等について
- 困窮するひとり親世帯の子どもたち一人ひとりの育ちを応援するため、物価高騰や社会情勢に合わせて児童扶養手当の支給額を見直し、児童扶養手当は子ども 1 人 5 万円に拡充すること。
- 児童扶養手当制度と年金の子の加算を子どもが 20 歳の誕生日までに延長すること。
- 児童扶養手当等の手当がなく、長期休暇がある 8 月、12 月に経済的支援等の対策を講ずること。
児童扶養手当等は、奇数月毎の支払いから毎月の支払いにすること。 - 児童扶養手当の全部支給の所得制限を 240 万円(収入ベース)に上げること、一部支給の所得制限を 480 万円(収入ベース)とすること。
- 児童扶養手当の窓口で、事実婚の通知(注)による事実婚の定義を改め、また、運用を改善し「相談しやすい窓口」「プライバシーが守られる窓口」をつくり、窓口ハラスメントを無くすとともに、郵送・ プッシュ型(サービスを受ける人の申請を待つのではなく自治体等が積極的に情報提供をすること)の申請・現況届ができるようにすること。
(注)児童扶養手当及び特別児童扶養手当関係法令上の疑義について
昭和 55 年 6 月 23 日児企第二六号各都道府県民生主管部(局)長あて厚生省児童家庭局企画課長通知 - 児童扶養手当の基準となる所得と扶養親族数を勘案する際、扶養親族数の増加や家計急変があった場合は、修学支援新制度のように現況を優先し支給していくこと。
- 児童扶養手当の扶養義務者の所得制限を 600 万円に緩和すること。
- 物価高騰や賃上げ等、社会情勢に合わせて給付金の支給を迅速に検討すること。
- 別居中の母子に支援施策について
- 離婚成立前(別居中)の児童手当は同居親に支給されること、DV 被害等で住民票を移していない場合でも条件が整えば支給されることについて、情報提供と運用を徹底すること。特に社会保険上配偶者の扶養に入っている場合も実態に即して対応すること。
- 離婚成立前(別居中)の世帯にも、児童扶養手当や医療費助成が受けられるようにすること。
東京都中野区実質ひとり親支援給付事業を先行例として、別居中の実質ひとり親世帯への支援を拡充すること。なお、2022 年 3 月通達の児童扶養手当にかかる「遺棄」認定基準(子 家 発 0318 第 1 号令 和4 年 3 月 18 日)(注)の理解の徹底を自治体に求める。
(注)https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/teianbosyu/doc/r03/tb_r3fu_12mhlw_116.pdf
- 仕事と子育ての両立ができる支援施策について
- ひとり親や離婚前別居子育て世帯が子育てと仕事が両立ができるようひとり親家庭日常生活支援事業の予算を大幅に拡充し、また委託先を再考し、利用時間や利用可能曜日等の自治体間の格差を解消し、全国で使える制度にすること。あるいはファミリーサポート事業の減免措置と自治体が選択できるようにすること。こども家庭庁は本事業が活用をなされているかについて実態調査を行い、結果を基に上記の改善をすること。
- 生活保護制度の改善について
- 子育て世帯の生活保護受給者の自動車保有については、求職中だけでなく就職後も、通勤・通院・保育園送迎等に必要なため、認めるよう徹底すること。
- 生活保護の申請時の扶養照会については廃止すること。
- 入学準備金については規定額を一括で事前に支払うこと
- 民法改正に伴い緊急に対応すべき諸課題と養育費受領率向上について
- 令和6年成立の父母の離婚後の子の養育に関する民法等改正法については、家庭裁判所の整備を十分におこない、体制が整うまでは法の施行を延期すること。共同養育を認めてきたオーストラリア等各国が暴力・虐待から子どもを守るために行っている施設や人員の整備、運用を学び、実施すること。
- 家庭裁判所は、DV や虐待が疑われる場合はアセスメントを丁寧に行い、子どもの調査はまわりの大人に左右されることのない安心できる環境で丁寧に行うようにすること。そのために国は、研修と人員体制強化のための予算を拡充し、DV や虐待の現状、特に被害者・加害者の心理に沿った研修を行うこと。
- 家庭裁判所は、養育費支払いの取り決めを共同親権や親子交流(面会交流)の選択の取引条件にしないことを徹底すること。
- 国は、親権、監護、養育費等の法律相談・取決め・調停・審判・裁判など各段階における、紛争解決や安全確保の支援、法的な役務の提供に関する無償支援などを創設し定着をはかること。
- 民法改正に伴い、税制、社会保障制度、社会福祉制度等への影響について十分に精査し、子どもに不利益が生じることのないよう、関係省庁が連携して対応を行うこと。また、社会福祉施設や学校、医療機関等で子どもの学ぶ権利や安心安全、生命が脅かされることがないように十分な準備を行うこと。
- 国は、女性活躍・男女共同参画重点方針 2022 に定めた養育費の受領率向上(注)を実現するための具体的な方策を推進すること。養育費の支払確保を進めるため、国が不払いの養育費を取り立てること。自治体ごとに養育費に詳しい弁護士相談が受けられる仕組みをつくり、養育費の取り決め支援、不払いの場合の強制執行などの相談支援を拡充すること。
(注)2031 年に、養育費の全体の受領率(養育費の取り決めの有無にかかわらない受領率)を 40%、養育費の取り決めをしている場合の受領率を 70%とする。
- 就労支援について
- 最低賃金は全ての都道府県において 1500 円以上とすること。
- 世帯単位ではなく、個人を単位とする社会保障と年金制度にし、パートの賃金を低く抑制する要因となっている配偶者控除は見直すこと。
- ひとり親家庭の経済的自立に向け、エンパワメントを含めたキャリアアップのための支援を拡充すること。困難を抱えるひとり親の背景をふまえ、資格の選択肢を広げ、高等職業訓練促進給付金等の支援を多様化すること。また、時間や費用等の制約を考慮し、それらの支援にアクセスできる環境を整えること。
- 全国各地において、自治体独自のひとり親就労支援事業を促進すること。
- 職業訓練については、ひとり親が利用しやすいようにやむを得ない欠席に配慮し、手当の支給要件や在校資格要件を緩和すること。
- 教育支援について
- 就学援助制度を全国一律とし、私立小中学校も対象とし、通知方法は、学校において全員配布方式を徹底すること。また、民生委員の証明書を必要とする運用は廃止するよう徹底すること。また入学時の前倒し支給と同様に、修学旅行費の前倒し支給を推進すること。
- コロナ感染症などによる一斉休校などの際は、就学援助世帯への昼食代援助をすること。
- GIGA スクールの運用は、各家庭の経済状況と IT 力の格差に配慮した経済援助・技術援助を行える体制をつくること。
- 給食費の無償化を進めるとともに中学校の給食未実施地区をなくすこと。
- 高校生等就学支援金及び高校生等奨学給付金の支払いは入学時あるいはせめて 5 月までとすること。また、入学金の納入期限を猶予すること。
- 高等教育の修学支援新制度の給付型奨学金の所得制限額を上げるとともに、在学時の給付制限の要件を緩和すること。
- 高校生に就学援助制度を創設すること。学校指定の学用品は必要性を考慮し最小限にすること。また PC やタブレット購入に当たっては支援が必要な家庭に配慮し、貸出し機の貸与にあたっては個人のプライバシーに配慮すること。
- 不登校児童の増加に伴いフリースクール等の多様な学びを推進し、授業料の補助等をおこなうこと。
- 学習支援や習いごとなど学校外の学びについて、国と自治体が連携して取り組むこと。
- 医療費支援について
- 福祉医療費の受給の収入基準額を見直し、全国のひとり親家庭の親子が安心して無料で現物給付で医療を受けられるようにすること。
- 住居支援について
- ひとり親世帯及び離婚前別居子育て世帯に対し公営住宅及び民間賃貸住宅の環境を整備し、入居しやすくすること。また公営住宅における保証人制度については廃止すること。
- 母子生活支援施設については、特定妊婦の利用等入所措置の緩和を行うこと。
- ひとり親家庭住宅支援資金貸付金を実施していない自治体に事業の実施を促し、対象要件を拡充すること。
- 自治体による民間借り上げ住宅など、ひとり親世帯への住居費補助を国の制度として設けること。
- 孤立防止について
- 地域の社会資源に繋がりにくいひとり親(別居中を含む)のために、国と自治体、民間支援団体との連携の上、離婚手続き等の情報提供を行うこと。また、オンラインなど多様な手法により地域を越えたつながりやサポートを拡充すること。
- 現在の子育て世代の中心はさまざまな困難に直面し、社会的にも孤立してきた就職氷河期世代であり、この世代に対する就職支援等をより充実すること。
2024 年 9 月 8 日