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2025年度韓国スタディツアーオンライン報告会を開催しました

2026年1月20日(火)、NPO法人ひとり親家庭サポート団体全国協議会(JSPF)は、2025年12月に実施した韓国スタディツアーの報告会をオンラインで開催しました。当日は加盟団体や研究者の方など多くの方にご参加いただき、韓国のひとり親家庭支援の現状や制度の特徴について、現地で得た学びを共有する貴重な時間となりました。

韓国スタディツアーの概要

2025年12月3日〜6日に実施したスタディツアーでは、韓国のひとり親支援に関わるさまざまな機関を訪問し、韓国の支援制度を多角的に学びました。韓国における面会交流支援の仕組み、未婚の母を取り巻く課題、養育費確保の制度、DV支援、そして中高年ひとり親への支援など、日本と共通する課題から韓国独自の取り組みまで、幅広い視点で学ぶ機会となりました。

訪問先やプログラムの詳細は、以下のページに掲載しています。
https://jspf.jp/topics/2025%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e9%9f%93%e5%9b%bd%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%87%e3%82%a3%e3%83%84%e3%82%a2%e3%83%bc%e5%a0%b1%e5%91%8a/

報告会の内容

1月20日にオンラインで行った報告会では、ツアーに参加した加盟団体メンバーが、それぞれの視点から現地で得た気づきや学びを発表しました。

<発表テーマ>

・韓国における養育費の問題
「養育費の不払いの状況は日本と韓国はともに不払い率は7割を超えている。しかし、韓国では養育費を個人の問題とはせず社会の責任としているところが日本と違う。養育費履行管理院がつくられ、その後罰則規定、そして、養育費の立替払い制度が実現した。日本も養育費の制度が変わるが、社会の責任で関与してほしい」といった報告がありました。

・韓国における未婚の母
「韓国の未婚の母について、以前は未婚の母のこどもは『海外養子』として出され、両国とも未婚の母を家の恥と考えていた。しかし、韓国では未婚の母の当事者団体ができ、さまざまな変化が起きた。レポートした参加者は同じ未婚の母の立場から歴史に共感、『未婚母』(ミホンモ)が『トゥリモ』という呼称も使われだしたそうだ。未婚の母の会のメンバーと交流したことによって自分も未婚の母の会をつくりたいという思いを強くした」と報告されました。

・韓国ひとり親支援施策全般について
ひとり親家庭の日韓比較や、支援制度の歴史、そして現在の支援制度の概要が報告されました。

・韓国ひとり親家庭支援施策の変遷
「韓国のひとり親家庭は貧困率がOECD諸国でもっとも高く、また非正規で働いている率も高く、日本と様相が似ている。しかし、この20年の変化は非常に大きく、ひとり親家庭に支給される児童養育費は2000年代半ばには日本円で5000~6000円だったが、2026年には約3万6000円くらいになるという。また青少年ひとり親には、別に加算が付き、教育費支援もあるなど、困難なひとり親にはさらに手厚くしていることが印象的だった」といった報告がありました。  

・韓国におけるDV支援
「韓国では市民運動の力が政策に直結しやすいことが違う。DV被害者支援については女性家族省が全国ネットワークを整備して1366ホットラインを多言語で行っている。また韓国では、DV,性暴力、ストーキング・交際暴力・デジタル性犯罪など対応範囲が広いということが団体との交流で分かった。相談件数も年間29万件。男性被害者や外国人支援も制度化されている。また韓国では、加害者プログラムが制度化されていることもよい点だと報告された。日本も中長期的な支援によってつながり続けられ安心できる社会がつくられるとよい」といった報告がされました。

・韓国における面会交流支援
「ツアーでは、ソウル家庭法院(家庭裁判所)を訪問し、面接交渉センターを見学した。韓国では、面接交渉センターは月2回6か月間(再申請により延長あり、最長6ヶ月)となっているそうだ。親向け、こども向けのガイドブックがあり、面接交渉のルール(暴言・暴行があった場合などはセンターの利用を中止)など書かれていた。韓国では全国17か所に面接交渉センターがあるということだった。実際に日本で面会交流支援をしているメンバーは、1年間の支援で終われるのか、またDV被害によるこどもへの影響の考慮がどの程度あるのだろうか」といった報告がありました。

・韓国における中高年ひとり親への支援
「中・高年ひとり親への支援として実施されているテンプルステイを実際に体験した。韓国でも日本でも中高年ひとり親の困難が続いている。ソウル市ひとり親家族支援センターは、中・高年ひとり親の専門技能教育とともに、お寺に宿泊し自分の人生を振り返るテンプルステイプログラムを提供しており、親子の参加もあるということであった。テンプルステイは韓国の150か所で行っている。実際の体験では、僧侶との茶談、早朝瞑想、川辺の散歩など、参加者がそれぞれ自分の人生を振り返りよい時間を過ごした。心と身体を癒すことができ、日本でもこのような支援があるとよい」といった報告がされました。

参加者の声(抜粋)

・「報告がとても充実しており、多くの情報を知ることができました」
・「DV被害者支援や加害者プログラムについて学べたことが特に印象的でした。日本でも裁判所の関与や制度化が進むことを期待しています」
・「帰国後も丁寧に調査し、深めた内容を共有していただけたことに感謝しています」
・「養育費や面会交流に国がしっかり関わっている点が良いと感じました」
・「家庭法院の制度は知っているつもりでしたが、近年の変化を知り、さらに理解が深まりました」
・「韓国の変化のスピードに驚きました。日本の支援が世界から遅れつつあることを実感しました」
・「海外のひとり親支援について詳しく知らなかったので、とても勉強になりました。日本でも取り入れられる点が多いと感じました」
・「韓国では国が主導して離婚後の家族に手厚く介入していることが印象的でした。支援者の自信と誇りを感じました」
・「韓国と日本の制度の差に驚きました。児童扶養手当が短期間で大幅に増額されるなど、国の本気度を感じました」
・「韓国のひとり親支援が“保護から支援へ”と変化している背景に少子化問題があることを知り、日本の今後を考えるきっかけになりました」

おわりに

ご参加いただいた皆さま、そしてスタディツアーにご協力くださった韓国の支援団体の皆さまに心より感謝申し上げます。
JSPFでは、今後も国内外の先進的な取り組みを学びながら、ひとり親家庭支援の質の向上に努めてまいります。