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北海道でひとり親の支援をピアサポートから食料支援を続ける~ひとり親とこどもふぉーらむ北海道・平井照枝さん
ひとり親とこどもふぉーらむ北海道の平井照枝さんは、北海道でひとり親家庭支援やこどもの貧困、女性支援の人々の間では知らない人のいない存在です。
また、こども家庭庁のこども家庭審議会ひとり親家庭とこどもの貧困部会委員でもあります。
平井さんにお話をうかがいました。
まずはどんな活動をしているのか教えていただきました。
20年近く続けているピアサポート『聴きあう会』、セミナー
「日々の相談支援の活動と、2008年から行っているピアサポートとして『聴きあう会』を奇数月の第 3日曜日に開催してます」
相談支援には、口コミやネットを見た方から連絡があり、メールや状況により電話や対面で対応しているそうです。
『聴きあう会』は、研修を受けた人が進行役になり安心安全な場で同じ立場の参加者が、不安や悩みを否定されずに話し聴くことで、自分だけではないと思えます。ミニセミナーとして使える支援制度なども伝えています。 離婚前の悩みを抱えるプレシングルマザーにとっても貴重な場です。
「『聴きあう会』やイベントの時に、連携してくださっているNPO法人フードバンクイコロさっぽろさんの御協力で、『0円マーケット』を開催していただいています。
『0円マーケット』はフードパントリーですが、マーケットで買い物をするように、自分で必要な物を選んで持ち帰ります。配布品として決まった物を渡されるよりも、自分で選べることは大切で、同じ配布会でもずっと嬉しいかもしれないですね」と平井さん。
また、セミナーとして使える支援制度や社会保障などの手続きについて、養育費、教育費、ライフプランのセミナー、お母さん方が元気になるようなエンパワメントセミナーを行っています。

「先日は生成 AIの入門プログラムの講座を企業のご協力で開催しました。皆さん関心が高くて、とても良かったです」
まだまだ情報が届いていないひとり親家庭支援分野。正しい情報を得てもらうのはとても大切です。
また、親自身のエンパワーこそが大切だとエンパワメントセミナーを実施しています。これはしんぐるまざあず・ふぉーらむで研修を受けたことがあるものだそうです。
学習支援やDV後のこころのケアなど提携事業も
「提携事業として、学習支援を認定NPO法人Kacotam(カコタム)に開催していただいています」
Kacotamは学校と家庭以外の安心できる居場所を提供しており、こどもたちのやりたいことに取り組むといった時間もあるそうです。
また DV 心のケア、holoholoさんやフードバンクイコロさんとなど他団体にご協力してもらっているそうです。
『振袖を着る会』で思い出の写真を撮影
「長年続いているのが、着付け教室の皆さんのご協力で、『振り袖を着る会』を毎年開催しています。今まで振袖を着る機会がなかった方々に、手ぶらで参加してたくさんの振袖の中から自ら選んでもらって、プロのメイクさんと部屋の美容師さんにセットと着付けをしていただいて写真撮影を行い、思い出に残してもらうというイベントです。年代関わらず、20代から 60代の方も参加されることがあります」
最近の成人式の着物レンタルや美容院のセットの値段は目が飛び出るほど高いため、そこで振袖を着られなかった若い人たちが「振袖を着る会」に来てくれており、さらに60代の方まで、この機会を生かしてくれているそうです。

美しくなることはその人自身の力を引き出すことにつながります。
また人生の節目のイベントができることはその人自身の人生をたしかなものにしていくのではないでしょうか。
コロナで会員数が激増
「無料のメルマガ登録の会員が 1500人を超えました。 2019年のコロナ禍前は 140名ぐらいでしたが、コロナの厳しい状況で助けを求める人が増加し一気に増えました。最近は物価高騰で本当に生活が厳しいため、毎日のように入会者がいます。こどもが成長して食べる量が増えているけれど、なかなか食べさせてあげられないという書き込みがあります」
コロナ禍以降、食料支援のパッケージを送ることに取り組んでいるそうです。
NPO法人 そして認定NPO法人めざして
2024年、ひとり親とこどもふぉーらむ北海道は、NPO法人になりました。
「2008年に立ち上げて、16年以上任意団体で活動していましたが、私も年齢を重ねてきて、登録会員さんも増えたため、組織強化をして持続可能な団体にするために法人化しました」
現在は、さらに多くの方にサポートを届けることをめざし、認定NPO法人の申請の準備をしているそうです。
「もともとは食料支援がメインの活動ではなかったんですが、コロナ禍から生活苦の相談が増えて、食料支援を続けています。2025年は給食のない春休みと夏休みと冬休み 950世帯にお届けしました」

食品が届くことでこどもたちがおなかいっぱい食べられるようになることはとても大切な活動だといえます。でもそれだけではないと平井さんは言います。
「”どこかと繋がれた”とか、”誰かが私たちのことを気にしてくれることがすごくうれしい!”という感想が届いています」
平井さんは支援制度のお知らせや、応援してくれている人のことも書いて送っているそうです。
平井さん自身の離婚体験がいまの支援に生きる
平井さん自身は娘さん2人が成人になるころに離婚しました。
平井さん自身、母子家庭で育ったので、いろいろな社会の無情にも気づいてきたこともあり、娘たちに同じ思いをさせたくないと悩みましたが、「お母さんが、ずっと頑張って来たのを知っているから、今度は私たちがお母さんを応援するよ」という娘さんの言葉に励まされたそうです。自分自身も情報がなく大変だったため、いま離婚前後の人たちを支援していきたいという思いがあります。
東京のしんぐるまざあず・ふぉーらむのひとり親家庭サポーター養成講座を受講したときに、「北海道に支部をつくってほしい」と頼んだところ、「自分でつくりなさい」と言われたそうです。
平井さんは自身がファイナンシャルプランナーでキャリアコンサルタントでもあるので、多方面の相談を受けられるのがメリットでしょう。
「ひとり親の支援制度はたくさんあって複雑ですし、ひとり親の支援制度だけではなく、就労支援、自治体によって異なる支援もあるので、さまざまな支援を複合的に合わせて、”あなたの場合、こういう支援が使えますよ”、”こういう状況だとこの支援とこの支援が使える可能性があります”など、将来的な中長期のライフプランも作って可視化しています。その結果、今の働き方を変えることを考えようかなと思ってくださる方も多いですね」
一方で、いろんな困難を抱えて、大変な状況の方もいるそうです。
「ひとり親日常生活支援事業がありますよとか、生活困窮者自立支援のネットワークとかつながってるので、北海道は広いので、各地区の方々とつながってほしいなと思っています」
こどもの預けサービスの申込を1か所にと言い続けて制度を変える
平井さんは、地道に制度を変えてきました。
札幌市のこどもを預ける施策には、ファミリーサポート、緊急サポートと病後児保育などがあるそうです。施策ごとに別々の団体が担当しているので、申請するにはそれぞれの団体に面談に行かなければならなかったそうです。
ある日、平井さんはあるシングルマザーから相談を受けました。
「こどもがインフルエンザにかかって 3日休んだけど、さすがにもう 4日目は休めない、どうしたらいいか」と。
ファミリーサポートと、緊急サポートと日常生活支援事業と病後児保育に登録してないのか聞いてみると、「忙しくて別々のところに申請になんか行けません!」と言われたそうです。
そこで平井さんはこれを1か所で申請できるように、さまざまな委員会で何度も何度も伝えました。

もう1点、札幌市のこども緊急サポートの利用料の支払い方も平井さんの働きかけで変わったそうです。
この制度は、3時間までは30分500円で、時間を超えた分の金額から30分当たり350円を減免されます。しかし、以前は一度全部の正規の利用料を支払い、申請書を提出して後日還付されていました。それを減免された分だけ払えばいいようにしてくださいと何年もいろいろなところで言い続けたそうです。
たまたま、様々な団体の女性の代表や企業が参加する女性応援委員会に平井さんが出席したときのことです。
「この要望について伝えたところ、皆さん賛同し、それがきっかけで、札幌市で 10区ある中の3区でモデル事業を始めて、現在は全区で3つのこどもの預けサービス(日常生活支援事業は別)は区役所1か所で申請できるようになりました。また、利用料も還付制度はなくなり、支払い分だけの金額で良くなりました」
平井さんが長年訴え続けた結果、制度が変わったのです。
このように、制度があっても使いづらい、登録がむずかしい、結果使えないといった制度がひとり親家庭支援には多数あるのが現実です。
こども食堂などひとり親のこどもたちの支援はさいきんは広がってきているように見えます。しかし、ひとり親家庭の状況に寄り添って、政策提言をし続ける団体は、行政に嫌がられるのではないかと思うのでなかなか育っていかないのが現状です。
平井さんはまたかと思われそうなときにも、「おしとやかに」「笑顔で」言い続け、制度を改善してきたのには頭が下がります。
さらに支援を広げたい
「昨年950世帯に食料支援を配ったので資金的に厳しい状況になってしまいました。公的な資金が一部しかないので、本当に皆さんの寄付で支えていただき、物資を届けるためにさらに応援していただければと思います。また、応援セミナーやエンパワーメントセミナーなど親自身が元気になって力が出てくるような講座も実施していきたいと思ってます」と話してくれました。
また人も募集しています。
「支援物資の仕分けや、イベント時のお手伝いインターネットの配信、バックオフィスなど、お手伝いをしてくださる方が来てくださると嬉しいなと思います。北海道のひとり親のために、少しでも力を貸したいっていう方が集まってくれるといいですね」
さいきんは広い北海道にひとり親家庭サポート団体全国協議会に加盟する団体が増えてきました。北海道のネットワークをさらに広げるときに中心になっていくことでしょう。さらに全国でもかなめの人だと思います。
北海道のひとり親家庭支援を広げていくために、みなさんの力が必要です。