トピックス

topics

【開催報告】ひとり親家庭支援者向けオンライン講座「ひとり親家庭とACE」

2026年6月19日(金)、NPO法人ひとり親家庭サポート団体全国協議会の主催で、支援者向けのオンライン講座を開催しました! 初回となる本講座では、大阪大学大学院の三谷はるよ先生をお迎えし、「ひとり親家庭とACE ―支援現場で押さえておきたい理解と対応のポイント―」というテーマでお話しいただきました。

■「ACE(子どもの頃の逆境体験)」とその影響

今回のキーワードである「ACE(Adverse Childhood Experiences)」とは、18歳までに経験した虐待やネグレクト、家庭内のいろいろな困難(DVや家族の病気など)による強いストレスやトラウマのことです。 三谷先生はデータをもとに、ACEが大人になってからの心身の健康や、暮らしの困りごと(貧困や孤立など)にどうつながっていくかを分かりやすく解説してくださいました。 また、「親の離婚や別居(ひとり親)」もACEの一つに含まれますが、それ自体が問題というよりも、DVや精神疾患など、他のいろいろな困難が重なってしまうことで当事者の方が抱える生きづらさに繋がるのだそうです。

■支援の現場で大切にしたい2つのアプローチ

そうした生きづらさを抱えた方に寄り添うために、支援の場で大切にしたい視点が紹介されました。

1. トラウマ・インフォームド・ケア(TIC)
「誰もが何かしらの傷つきやトラウマを抱えているかもしれない」という前提に立つ関わり方です。「なぜ問題を起こすんだろう?」と責めるのではなく、「何がこの人をそうさせているんだろう?」という問いをもつことが大事だということです。支援の場で傷つきを深めないよう、まずは「安心・安全」を感じてもらうことが肝心です。

2. PCE(子どもの頃の肯定的な体験)を増やす
PCE(Positive Childhood Experiences)とは、子どもの頃に「安心できる」「人とのつながりがある」「自分には価値がある」と感じられたポジティブな体験のことです。 最新の研究では、たとえ子どもの頃に辛い逆境(ACE)があっても、学校や地域など「家庭以外の場所」でPCEをたくさん経験していれば、大人になってからの生きづらさが和らぐことが分かってきました。家庭だけに抱え込ませず、地域みんなであたたかい体験を届けていく「PCE支援」がとても重要になります。

■おわりに

「ACEがあったからといって、これからの人生がすべて決まってしまうわけではない」という三谷先生の言葉に、希望をいただきました。受講アンケートでも「スタッフ・ボランティア研修では必須の内容だと感じた」「より多くの支援機関や行政とACEやPCEの概念を共有したい」などといった声が寄せられました。

たとえACEスコアが高かったとしても、周りのあたたかいサポートや安全・安心を感じられる居場所が日常の中に少しでもあれば、人は回復していくことができます。 これからも、子どもたちや親御さんが「安心」と「つながり」を感じられる社会を目指して、みんなで学びながら活動を続けていきたいとあらためて感じました。三谷先生、そしてご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!